相続登記の義務化のいきさつ

不動産を所有する家族や親戚が亡くなった場合、その不動産は相続人に引き継がれることになります。もっとも相続人といっても一人とは限らず、たいていは複数存在しているものですので、これらの人たちが共有するよりも、むしろ話し合いによって全員の合意を得て、誰か特定の相続人に不動産を取得させる取り扱いとするのがふつうです。この話し合いのことを遺産分割協議といいますが、協議を経て実際に不動産を取得する人が決まった場合には、いよいよ亡くなった人の名義から新しく所有者となった人に名義を変更する相続登記が行われることになります。この相続登記はかつては義務ではなく任意であったため、申請の際に支払う登録免許税などの負担を回避するために、あえて申請せずにそのままにするケースが目立ちました。

実際のところ不動産会社に売却をするなどの特別なイベントがなければ、相続人としては相続登記をしなくても特に困ることもありませんでした。しかしこのように相続登記を怠ることにより、登記簿上の所有者と実際の所有者が一致しない事態が生じることになり、再度の相続があればなおさら混乱を招くことになります。公共事業において土地の買収をする場合や、管理が不十分な空き家や空き地の適正管理を所有者に促す場合などにも、実際の所有者がわからなければ物事を先に進めることができません。こうしたことから、令和3年に相続登記の義務化を決める法律が国会で制定され、令和6年4月に義務化が実施されることになりました。

義務化後は法律に違反すると過料の支払いを求められる場合があるので、一般人であってもよく注意しなければなりません。

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