相続登記をしない弊害と法律による義務化

相続登記は土地や建物を相続によって取得した人が、登記簿上にある所有者の欄の記載内容を変更してもらうために行うものです。中古住宅をマイホームにと購入した場合には、ほぼかならず所有権移転登記を行い、もとの持ち主から新しく買った人へと登記名義を変更します。実際に金銭のやり取りをして所有権が移ったことを証明するための手段として、この所有権移転登記をすることはとりわけ重視されていますが、相続登記はこのケースと同様に所有権の移転をともなうものであるにもかかわらず、これまであまり重視されることはなく、極端な話をすれば、登記をしなくとも罰則が適用されることなどもありませんでしたので、登記をせずに放置されるケースが目立ちました。相続登記をしない弊害には、所有者にとっては該当の不動産を売却することができないこと、また後から登記をするにも放置している間にさらにる相続が発生して権利関係が複雑になる懸念があることが挙げられます。

もっとも当面は売却などをする必要がなければ、放置していたとしても特に支障が生じない場合が多かったといえます。広く社会的に見た場合の弊害には、登記簿の記載からは本当の所有者がわからなくなってしまい、公共事業での買収などの土地活用ができなくなったり、空き家や空き地の適正管理を所有者に促すことができなくなってしまうことがあります。こうしたことから国では相続登記を義務化することになり、令和3年に所要の法律改正が実現しました。実際の義務化は令和6年度からのスタートとなりますが、義務化以降は原則的に相続による不動産の取得があったことを知った日から3年以内の登記申請が求められます。

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